遺品整理屋の使命は、遺品という物と心の整理をするということがありますが、

もう一つは「遺品という宝物を守る」ということも大切だと思っています。

以前も遺品に押し寄せる親戚のお話を書きましたが、

善意の第3者である遺品整理屋が整理をすることで、

遺品の所有権を守ることができます。

 

先日、同業の社長様と話す機会があって、遺品整理の色々な事例を話していて、

遺品に押し寄せた親戚の話をしていたら、この社長様も「そうそう!うちもこんなことが!」と

教えていただいた話があります。

 

40代くらいの男性からのお問い合わせで、「盗まれた遺品を取り返して欲しい」と唐突に言われたらしく、

詳しいお話を聞くと、亡くなったお父様の遺品整理の手伝いを友人に頼んだらしいのですが、

明らかに遺品が無くなっているため、友人を問い詰めても知らぬ存ぜぬ。

「なんとか取り戻したいので協力して欲しい」という内容だったのですが、

いくら遺品整理屋とはいえ、遺品のサルベージはまた別な問題となり、

盗難となれば警察や弁護士などの範疇になるため、やんわりとお断りをしたそうです。

 

「しかし、なんでまた遺品整理屋に遺品奪還を頼んできたんだろう」と社長様は申されたので、

「遺品整理屋は遺品を見つけるプロだから、なんとか見つけて欲しかったんじゃないでしょうか?」と言うと

「うちらは探偵でもルパン三世でもないんだけどね(笑)」と笑っておりました。

 

確かに、遺品整理屋は「遺品整理」「遺品探索」のプロではあるのですが、

他人様が整理した後では、どうするこもできません。

ただ、もう一つ「遺品を守るプロ」ということでは、

善意の第三者である我々に頼むことは、たしかにお金はかかりますが、

遺品と同時に「人間関係を守る」という効果もあるのかな・・・と、

このお話を聞いて、ふと思いました。

 

※個人の特定を防ぐため、一部内容を変えてフィクションとして書いていますのでご容赦ください。