一言に遺品整理と言っても整理をお願いされる物はお客様によって様々でして、

一般的な衣類や家財道具はもとより、中にはピアノや車、

巨大な絵などをお願いされることもあります。

 

もちろん、私達では整理することができないものもあり、

中でも一番困ったご相談内容が、

室蘭で飼っている犬の整理・・・という内容でした。

 

ご相談者様は高齢で一人暮らしをされている女性の方で、

病気がちのため、そろそろ生前整理を考えている・・・というお話だったのですが、

お話を聞いているうちに

「今、犬を飼っているのですが、もし私が死んだら、

 この子の行き先を決めてあげて欲しい」と相談されました。

 

ご相談者様は、犬は家族同然だから死んでからの行き先が不安・・・とは言うのですが、

申し訳ない話・・・

これが急死だった・・・というのであれば、致し方ないのですが、

家族同然だと言い、ご存命のうちに生前整理まで考えているのであれば、

自分が生きているうちに、行き先を自分で決めてあげるのが、

本当の家族に対する行動じゃないかな・・・と思います。

もし、これが自分の本当の息子や娘だったら、

自分が死んだあとに、第三者に行き先を任せることなどせずに、

生きているうちに自分で行き先を考えるのではないでしょうか。

 

ただ、このご相談者様は、

「自分が生きているうちに、この子がどこかに行くということは考えたくない」

とおっしゃられ、私も自分の考えを遠回しに言ってしまったものですから、

ちょっとムッとされたようで、結局このお話は流れたのですが・・・

 

正直、私自身、個人の方のペットは遺品整理の対象にはしていません。

法的には「ペットは物」として定義されているので、

頼まれれば「物」だから「処分」ということで、

保健所に持っていく・・・ということも考えられなくもないのですが、

私はペットは生き物であり、故人の方の家族だと思いますので、

家族の行き先を第3者である私が決めることはできないという考えでいます。

 

このケースのように、「家族」なのに、

他の遺品同様に、死後、第3者の手に自由に委ねてしまうというのは、

家族ではなく「物」として、ペットを考えている・・・

そんな気がしてなりません・・・

 

※個人の特定を防ぐため、一部内容を変えてフィクションとして書いていますのでご容赦ください。